年齢は関係なし!シニアも挑戦
留学するまで
仕事をリタイアした10年ほど前からボケ防止になればと思い、スペイン語を本格的に学び始めました。以来ずっと、スペインで生活しながら本場のスペイン語に触れてみたいと願っていました。また、私が所属するスペイン語サークルの仲間が、数年前の冬にサン・セバスティアンに留学されたのですが、その留学談を聞くにつれて留学への思いがさらに募り、思い切って実行しました。
本当は美食の街、サン・セバスティアンに行きたかったのですが、彼の地の冬は寒く、雨や曇りの日が続くという仲間の助言もあり、地中海沿いにあって比較的温暖で、近くに私が好きな白い村が散在し、しかも日本人が少ないと聞いていたマラガを選びました。
語学学校について
学校は、ピカソの生家、ピカソ美術館、アルカサーバ、古代ローマの劇場など観光名所が集中する中心部el centro históricoの一角にあり、私が借りたアパートからも歩いて5分。クラスの人数は毎月曜日に増減しますが、一クラスの上限は10人。入学初日に文法の試験を受け、私はB2クラスに入れられました。
午前中の授業は100分×2時限を文法、午後は50分のマンツーマン会話を選択。文法の内容は問題なく理解できましたが、授業は「話す、聞く、読む、書く」をバランスよく配分しながら、生徒が楽しく、且つ総合的に力がつくように進められました。特に「話す」が授業時間の半分近くを占めることもかなりの頻度でありました。
クラスは20歳前後の若者が半分、年輩の人が半分。他の生徒さんは上手にスペイン語を話され、他の人の話にも「うん、うん」と頷かれていたのですが、私は「聞く」が苦手なので十分に理解できず、「クラスを変わろうか?」といつも自問していました。
私は知らない単語が出てくるとすぐ辞書をひいてしまうのですが、他の生徒さんは知らない単語や疑問点があれば積極的に質問=会話し、先生も具体的、且つ丁寧に教えてくれました。この私も、途中から授業中は辞書をひかないようにし、文法的に多少間違っていても気にせずに話すようにしました。
マンツーマンの会話時間は、テーマを設定せず、マラガの生活で私が気づいたことについて意見を述べ、その後、先生と話し合うという形でした。といっても、先生曰く「私はスペイン人。スペイン語を練習する必要はない」。ほぼ50分間、私が喋りっ放しということも少なくなく、易しい言葉を使って自分の意見を伝えるという、よい訓練の場となりました。
宿泊先について
宿舎に関しては、スペイン語を話す機会を多くするため、留学にはホームステイが最適だと思いますが、私は湯船につかりたいという欲望が勝り、学校近くにアパート(ピソ)を借りました。当然、食の調達や洗濯は自分で…。中央市場、スーパーマーケット、コンビニ、デパートなどへ足繫く通い、ピソ屋上で洗濯を干したり。これによってスペイン人の生活の一端を垣間見ることができた気がします。
また、到着後2週間余りは毎日日替わりで様々な問題が発生。寝室の窓のシャッターが開かない、浴槽のシャワーと風呂を切り替える装置が壊れている、湯沸かし器にスイッチを入れたら電灯がすべて消える(湯沸かしが壊れていた)などのアパートの問題に加え、携帯電話が壊れる寸前で修理を頼まざるを得ないとか。これらの問題を解消するためにスペイン語を使わざるを得なかったのは、不幸中の幸いだったといえるかも…?
旅行について
私は、週末を利用してロンダ、ミハス、フリヒリアナなど白い村への個人旅行を楽しみましたが、授業後や週末を利用した学校主催のアクティビティが頻繁に実施されています。マラガ市内の観光名所をはじめ、グラナダ、セビリャ、コルドバ、ジブラルタル、更にはモロッコのタンジールなどへの小旅行も実施され、多くの生徒が参加していました。
その他
留学の最終週は、アンダルシア地方が一年で最も盛り上がるセマーナ・サンタ(4月2日~7日)と重なりました。期間中は毎日、マリア像とキリスト像がのった山車6~8組が午後から夜中まで街中を練り歩き、それを一目見ようと見物人が道路や舗道を埋め尽くす光景と熱気はまさに圧巻。カトリックの国の信仰心の深さを実感できました。
最後に蛇足かもしれませんが、同じクラスの年輩の人たち(アメリカ人、オーストリア人、カナダ人、ブラジル人、アイルランド人、ドイツ人など)を見ていて、全く違う旅のスタイルを発見しました。彼らは、マラガでアパートを借りてスペイン語学校に通いながら、近郊観光地への小旅行を繰り返し、2~3週たつと他の都市のスペイン語学校に転校し、また小旅行を重ねます。中にはフランス語もできる女性がいて、彼女はマラガの後フランスへ旅立ちました。滞在場所を毎日変える駆け足観光ではなく、何か所かで長期滞在を繰り返しながら、趣味のスペイン語と実益の観光を楽しんでいくという旅のスタイルも面白そうだなと思いました。
これから留学される方へ
私は71歳の高齢者ですが、今回短期留学して、さらにもっと長い留学をしてみたくなりました。語学の面でどれだけの進歩が得られるか分かりませんが、語学以外にも様々な発見があり、そのことが楽しいし、また特に若い人を人間として成長させることは間違いありません。「もっと若かったらなあ・・・。」これが今の私の強い思いです。
若い人の留学は、将来必ずや大きな果実をもたらしてくれるでしょう。