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ベネズエラ発祥の音楽教育『エル・システマ』

中南米情報

突然ですが『エル・システマ』とはなにかご存知ですか。

先日テレビで、【クラシックに興味が無くても絶対感動できる演奏!】という、興味深い音楽活動を知ったのでご紹介します。

 

スペイン語学習者なら『システマ』と聞けば、組織、体制、制度、体系と言葉の意味を考える方が多いと思います。

 

NPOか非営利団体が作った、何かの組織かな?と思ったのですが、この『エル・システマ』はベネズエラ発祥で、子どもや若者が無償で音楽を勉強できる場・グループです。

 

なぜベネズエラか。テレビやSNSでもニュースになっていますが、ベネズエラでは普段の生活で銃や麻薬、殺人に触れることが珍しくなくそれは日常にある光景です。小さい頃からこういったものに手を出して命を落とす若者が多く、また犯罪が後を絶ちません。

 

このままではいけないと、銃や麻薬以外に未来を担った若者たちが集中して取り組めるもの、必死になるもの、そしてそれを通して心が豊かになるものを作ろうと1975年、ホセ・アントニオ・アブレウ博士によって創設されたのがエル・システマです。

 

このエル・システマは今ではシモン・ボリバル音楽財団に属し、現在60万人の子どもたちが参加している大プロジェクトだそうです。この間のテレビで映っていた指揮者はベネズエラのスラム街で育ち、エル・システマで5歳から音楽教育を受けた、グスターボ・ドゥダメルです。その他にもクリスティアン・バスケスなどの世界的に有名な指揮者を輩出しています。

 

世界的に活躍するバイオリニスト葉加瀬太郎さんが番組でエル・システマのことを語っていました。

演奏している人は指揮者も含め全員ベネズエラの子どもや若者たち。貧困層の子どももそうですが両親がいない、家族がいない、という子も何人もいるそうです。エル・システマに所属している子ども達は「自分は一人じゃない」「私も頑張れば音楽の世界で生きて行ける」「演奏ってこんなに楽しい!」「私たちの演奏で感動してくれる人がこんなにたくさんいる」と自分の居場所を見つけ、音楽を通して自信をつけながら社会の階段を登ります。

 

既に世界で活躍しているエル・システマ出身の指揮者や演奏家は皆、年に何回かはベネズエラに戻り自らオーケストラや合唱団の指揮をしたり、演奏を教えたりしているそう。こういった触れ合いがあるからこそ、子どもたちも「自分もこうなりたい!」「かっこいい!」「世界で活躍したい!」と思っていたことが希望や夢、目標になるのですね。

 

日本では東日本大震災後、福島県相馬市で最初のエル・システマの拠点が作られ今では150人以上が参加するオーケストラ・合唱団になっています。岩手県大槌町でもエル・システマが始まり大きく成長中です。被災地を深い悲しみから救うために作られたこの拠点が、今は地域の子どもや若者たちにとって希望や将来の夢となっています。

 

今の時点でベネズエラにスペイン留学.jpの提携校はありませんが、将来的にサポートできる日が来ればな〜と思います。

 

余談ですがベネズエラ出身、日本で活躍している有名な方が日本のスポーツ界にいます。

それは横浜DeNAベイスターズのアレックス・ラミレス監督!ベネズエラは世界的に見ても有数の野球大国ということをご存知ですか?

彼は日本のプロ野球界において中南米でもベネズエラでも初のベネズエラ人監督だそうです。そのほかアレックス・カブレラ、ロベルト・スアレスも日本の野球界で活躍するベネズエラ出身の選手です。

 

エル・システマの演奏、ご覧ください!みんなとても生き生きとしていますね。